その日の僕は、天気以上にどんより曇っていた。
嫌で嫌で仕方なかった。
世の中にはいろいろな嫌なこともあるし、苦労もある。
自分の苦労なんて、本当に苦労している人から見たらたいしたことではない。
そんな風にも思ってみるのだが。
いかんせん、日々の仕事が、職場の女性たちが
女性職員から受けるプレッシャーが、言葉の一つ一つが、
早口で、甲高い声でまくしたてる無駄な言葉たちが
もう、限界だった。
特別養護老人ホームで、介護職員をしている。
デイサービスでの介護経験はあるが、小さな規模の会社での経験は、
地元に愛され20数年、ベテラン揃いの法人の中では、
役に立たないに等しかった。
足を引っ張っていた。
ように思う。
仕事については、皆、とても丁寧に教えてくれる。
感謝しなくてはいけない。
ただ、何度やっても頭に入ってこない。
そもそも、頭に入れようとしていない。
何度かやれば覚えるだろう、と考えているところもあるのだが、
よくよく自分を顧みれば、頭に全く入ってこないのだ。
情報が、指導が、経験が身につかない。
振り返ると、一瞬で忘れてしまうことがあるが、
話を聞いていても、その場で忘れていってしまう。
メモも取らないのだが、もとより、
メモを取っても忘れてしまうのだ。
メモを取って安心するし、
メモは汚い字なので読む気も起きず、
メモは、書いてポケットにしまったら読み返さないし、
メモは、書いたことすら忘れてしまう。
書いたってしょうがないのだ。
どうせ見ないのだから。
体で覚えるしかないのだが、それでだって、自分のやり方優先。
結局、何度聞いても同じ間違いを繰り返す。
「教えてあげるから」と指導を受けても
「お前はだめなやつなんだ」
「だらか教えてやるんだ」
と、言われている気がして、指導を受ける時間は苦痛でしかなかった。
その日は立て続いた。
午前中、
ただでさえ口やかましい女性職員が、ひたすら厳しく延々と説教をしてきたのだ。
利用者のトイレ介助をしているすぐそこで、もうやめてくれと言っているのに
ひたすら同じことを、甲高い声で、早口で
「あなたのためだから」とか言って。
午後、
利用者に内出血を発見した。
自分がやったわけではない。
ただ、見つけた本人がヒヤリハットを書かなくてはいけない。
この、やっていないのに書かなくてはいけないのが、
結局は他人の目から見たら「お前がやったんだろう」とみられてしまう。
そう思う。
特に、失敗が多い自分は、何かにつけ目をつけられてしまう。
しかし、見つけた事実を報告しないのもやはりできない。
後から、ほかの人がその事実を見つけた時に、「なぜ見つけられなかった」と
問い詰められたらと思うと、正直に言ったほうがいいのではと思う。
素直に報告した。
自分はやっていませんと。
気づいたら内出血がありました、と。
その看護師は、あからさまに疑っていた。
「まだ新しい内出血だよね」
「移乗は誰がやったの」
「心当たりない?」
「これは今後そうならないようにするためだから、どういう状況でこうなったか考えてみて」
なんだろう、結局ひたすら責められている。
実際は、もっともっといろいろ言われて、早口でまくしたてられていた。
先の女性職員も、この看護師も
とにかく自分が一番で、指導する立場にあって、
高圧的で、自分勝手で、人に厳しい。
僕は、彼女たちの早口でまくしたてる言葉を耳にしながら
「早く終われ、早く終われ」
「わかった、わかったから」
「嫌だ、嫌だ、もう嫌だ」
「やめたい、やめたい」
「一回言えばわかるから」「何度も言わないで」「お願い」
そう思っていた。
午前の部に関しては、あまりにもまくしたてて言ってくるので
「わかりましたから、お願いですからもうやめてください」
と懇願した。
本当にいっぱいいっぱいだったのだ。
今に始まったことではない。
この会社に入ってから2年半。
ずっとそうなのだ。
辛くて辛くて、
仕事帰りは毎日神社でお詣りをして
なんとか救いを求めていた。
仕事に来たら、昼ご飯を楽しみに働き、
昼ごはんが終わったら、定時で帰れることを楽しみに働き、
定時になれば、少しは残業になればと思いながら、
全く残業がつかないことを無念に思い
収入が増えないが、増やすすべがない。
家に帰れば「稼げ」と言われる。
ただ、疲れて寝てしまう。
ああだこうだ言われても、なんだかどうしようもないのだ。
この日々は。
働きたくない。
年を取りたくない。
ボケたくない。
お金や、仕事や、いろいろな事に縛られる人生は嫌だ。
とにかく、辛い思いをしながら、その日はようやくうちに帰った。
このまま、嫌な気持ちをお土産に持って帰っていはいけないと、
帰ってからいつもと違うことをしてみた。
そしたら、引き寄せられたのだ。
引力に。
3メートルの高さから落下し、
左半身をしたたかに打ち付けたのだ。
子供たちは、仕事から帰ってきた妻にこう言ったのだ。
「パパ落ちた」と。
続く。
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結局どんな旅をしてきたのか!?
実はアメブロにまとまっています。
うちの素敵な奥様が、僕のFBを追いかけて記録したブログ
「静岡からバックパッカー
おはぎの山さん放浪記」
https://ameblo.jp/ohagi-oyamasan/theme-10105136680.html
ぜひこちらもご覧ください。

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